幸せなキャリアの見つけ方

 私は会社を辞めて留学に来てるので、そろそろ卒業後の進路についても少しずつ考え始めないといけないなと思っています。特に進学は考えてないので就職になるんですが、改めて自由に仕事を選び直せるワクワク感みたいのがありつつ、もう30オーバーなのでどこか拾ってくれるんだろうかと多少の不安もあるといった感じです。

 

 自分の新卒での就活を振り返ると、何だかよく分からなくて面白そうだなという安易な理由で選んだんですが、今は歳も取ったし家庭を持つ身になったので、もう少し中長期的な視野で(かといって保守的にならず)考えねばと思っています。

 

 自己分析や会社研究とかは今後少しずつやっていくとして、その参考的な位置付けで、キャリア・仕事に関するWellbeingの研究を備忘録的に残したいと思います。やりがいとかワークライフバランスとかキャリア選択の軸が多様化しつつある今、ぜひ皆さんにも参考にしてもらえたら嬉しいです。

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 前提となる考え方として、意味のある(Meaningufulness)キャリアを選択する上ではマルチレイヤーで思考するというのがあります。個人レベル(性格、モチベーション・強み、価値観・経験)、仕事レベル(内容、質、量)、組織レベル(リーダーシップ、社内カルチャー、労働条件、人事等の制度、Vision/Mission)、社会レベル(法令、制度、規範)の4つです。その観点で自分との整合性を検討することが自分にあった(=幸せなキャリア)に繋がります。

 

※ 以下は4レイヤーの関係を示した図 (lysova et al, 2018)

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 上のレイヤーを意識しながら、いくつか大切なポイントを記載します。

  • 仕事に対する指針は3つに分けられる:仕事を収入の手立てと考えるJob Orientation、ステータス向上や自己成長などキャリア設計のためとするCareer Orientation、地域や社会などより大きなものへの貢献手段とするCalling Orientation(Callingは日本語で「天職・使命感」を意味します)。想像の通り、Calling > Career > Jobの順に満足度が高いです。

  • Calling Orientationとは:仕事が生活の中心でありながら、個人のアイデンティティでもある。内発的動機から仕事へのコミットメントを高め、仕事を通じて自分の充足感やSignificanceを満たして、同時に社会やコミュニティへの貢献も果たしているとの考え方。

  • 3つのOrientationは色んな業種で現れる:どんな仕事でも、意味ある仕事と考える人もいれば、つまらないと捉える人もいます。つまり職種や環境だけでなく個人の性格や主観等も影響していて、個人が仕事に意味づけしようとする意欲や努力こそが大切です。その意味でコーチングによるキャリア相談などは、その人の経験や特性を棚卸し、自己効力感を高めながら将来についてじっくり真剣に考える機会となり、Calling Orientationに近づくことに貢献するでしょう。

  • Calling Orientationは時間をかけて発展・変化する:時代に応じた社会的要請や個人の経験の積み重ね・成長などで、仕事への意味づけのコンテクストや内容が変わるので、同じ仕事でも徐々にCallingを感じられるようになることも。Calling Orientationにある人の特徴に関する調査では、比較的高齢、経験豊富、また職業的ランクや収入の高いといった結果が得られました。裁量がある人、成功経験を積んだ人、見合ったリターン(報酬や肩書き)がある人ほどCallingを感じ易い、またその逆にCallingを感じるほどパフォーマンスが上がって上特徴を有するという関係もありそう。

  • Callingな仕事を見つけるには社会的サポートが大切:例えばロールモデルや社内メンターの存在、上司からのフィードバックやメッセージなどが、個人が仕事に意味を見出すことに影響してきます。管理職は単に業務進捗をマネージするだけではなく、また部下をディスカレッジするのはもちろん論外で、部下に対して仕事の意味や個人の成長・価値観との結びつきを考えてもらうリーダーシップスタイルが求められています。そのため、キャリア選択の1つの軸に、働く人たちが使命感を持っているか(そういうカルチャー・制度があるか)というのは重視すると良さそうです。また、社外でも、その分野のプロフェッショナルな人や集団と関係を築くことで、その人たちの哲学や考え方、熱意に刺激を受けて、自分の仕事にCallingを見出すことに繋がります。この考え方は、生活する自治体や地域というコンテクストでも考えられると思います。

  • 意味ある仕事の特徴:として、社会的意義、自分とのフィット感、裁量の大きさ、成長機会、組織の合理性・効率性・安定性、良い関係性と支援サポート、適切な給料と評価、公平性や個を大事にする価値観、などが挙げられています。

  • 自分の特性にフィットした仕事であるほど満足度が高くなる:自分の強みや性格、目標、価値観を知ることがまず大切です。取っ掛かりとして、mgramなどの強み・性格分析系のサービスを使ってみるのも良いかも。いくら給料が高くても、業務内容や組織文化等が自分に合ってないと心理的に苦労します。
  • 意味のある仕事のメリット:個人の幸福度、満足度、自己実現、精神的成長、自己超越感を高め、またストレスを低減させます。また、仕事に意味を見出している人ほど、労働生産性・パフォーマンスが高く、欠勤率や転職率が低いという企業側のメリットもあり、一方で仕事に意味を見出せない(Meaningless)な人ほど、逆の結果になって労使双方にとってデメリットになります。つまり、会社側にも、社内のVisionやMissionの明確化、それを落とし込んだカルチャー、従業員をモチベートしながら道を提示していくリーダーシップ、それらを実現するための制度設計などの施策が必要でしょう。

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 実際には、現実問題として、給料や昇給がどのくらいか、転勤や海外駐在の有無、実家との距離感、仕事の安定性、業務時間の長さ、など様々な要素に鑑みながら最適解を探るという作業になるでしょう。

 

 その一方で、Calling Orientationに従って「意味のある仕事」の探求に全振りしてみた時にどういった視点で考えるのが良いかというと、上の点などが参考になるかと思います。例えば、チャレンジングな企業文化のある会社、キャリアメンターなど制度の充実した会社、もしくはCallingは結局変わり得るんだという見方に立って現時点ではCareer Orientation寄りの選択をするのもありでしょう。そういった点を意識すると、自己分析や会社研究を行うときにも違った見方ができるかと思います。

 

 ということで、就活頑張ります。。