日本に帰ってきました

 ロンドンがロックダウン秒前か?というタイミングの3月中旬、いよいよやばいことになりそうだと予感して急遽日本に帰ってきました。日本政府が欧州からの入国者に特別検疫(2週間の自主隔離と公共交通機関の利用自粛)を課す前の到着でしたが、念のため東京のホテルで自主隔離して、今は妻と息子(乳児)が暮らす住まいに移ってきています。

 

 日本に戻ってしばらくすると、大学から今後の授業は全てオンラインに切り替わると正式な通知があったので、このままロンドンに戻ることなく、日本で授業を受けながら修論を書いて卒業を目指すことになりそうです。本当であれば7月までキャンパス授業があり、勉強のほかにも、イギリスでの生活や周辺国の旅行など色々計画していたので残念ではあるのですが、最早そうも言ってられる状況ではないので、今は気持ちを切り替えています。(と言いつつ、ずっと行きたかったアウシュビッツに遂に行けるというまさに直前で全てキャンセルになってしまったのが心残りなのですが。。)

 

 一方で良いと思えることもあります。昨年末に生まれた子を日本に残してロンドンに渡っていましたが、これで日本で子育てを楽しみながら勉強できる環境になりました。子どもの成長は本当に早いので、その大事な時期を一緒に過ごせるのは留学と同等、若しくはそれ以上に貴重な経験だなと思っています。また、修論も日本でリサーチする予定だったので、当初計画よりじっくり時間をかけられそうです。

 

 環境は変わってしまいましたが、留学生として勉強に集中する意識は緩めることなく、引き続き励みたいと思います。

 

-----

 最近はメディアで「withコロナ」や「afterコロナ」という言葉を目にするようになり、コロナが私たちの生活や時代の変化を象徴する事象になることが共通認識になりつつあります。今なお続く人命や経済的な危機は、過去二度の大戦がそうであったように、今後の私たちの生活や社会のあり方を見直すきっかけとなり、既に何らかの変化を感じとっている人もいることでしょう。

 

 その中で、私はポジティブ心理学は今後の社会を見通すヒントになるのではないかと思っています。これまでの経済成長偏重主義やマテリアリズムな考え方に限界が見え始めて(兆候は既にありましたが明らかな形で可視化され)、今後新しいイデオロギーが誕生することになるでしょう。そのキーワードの1つに、個人や社会のウェルビーイング向上が挙げられ、私たちがどういった働き方・生き方をするのが良いか考えるにあたり、ポジティブ心理学は良い材料を提供できるのではないかと思います。

 

 コロナ禍における私たちは、外出自粛によってこれまで以上に家族や友人の大切さに気付き、医療現場で働く人たちへの感謝や周囲の人たちと支え合うことの重要性を学んでいます。そして感染症に対して如何に社会が脆弱かを知り、政治参加の必要性を痛感したり、新たな感染症の発生や災害などのリスクを低減させるために自然と共生する社会の実現が不可欠との認識を強くしています。また、テレワークなどの働き方が時間的なゆとりを生み、一人ひとりが自分自身のために時間をどう使うか考え直す機会にもなるでしょう。

 

 これまで盲目的に経済成長を目指してきた私達に対して、コロナは経済と命を天秤にかける形で、真に大切なものが何かを問いただしています。この問いにしっかり答えられるように、私たちが今から真剣に考えていくことが重要なんだと思います。