期末課題 〜 自身の幸福度を高めてみる

 私が所属するMAPPCPでは期末試験はないのですが、その代わり期末レポートが課されていて、最近はその準備に時間を割いています。

 今期とっている2つの授業のうち1つ「Perspectives on individual wellbeing」の期末課題は、幸福に貢献するとされている手法(処方)を2つ実践して、その前後で自身の幸福度がどのように変化したかを測定(診断)、学術的・実践的見地から処方と診断に関する考察を行うというものです。(※幸福度を高める「処方」や「診断」の関係については以下も参考ください。)

 過去の実験を通じて、これら「処方」や「診断」方法に関する効果の程は実証されていますが、あくまで実験環境(対象者、期間、内容など)等の制約下でのものなので、私たちにも広く効果が認められるのかなかなか断定が難しいのです。(例えば、アメリカのティーンを対象に行った実験の結果が、ロンドン留学中の31歳の日本人男性にも当てはまるかは分からないのです。)またその後は、過去の実験結果をサポートする、発展させる、若しくは批判する実験が多数行われていますので、関連する論文を読み進めて引用しながら、自分に適応した結果を踏まえて批判的な考察を与えていくことになります。

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 本期末課題のために提示されている処方は以下10個です。ここから2つ選んで実践することになっていますが、その内容はもちろん、実施期間(3日で終わるものから3ヶ月かかるものまで)だったり、期待される効果も様々でバリエーションに富んでいます。

  1. Three good things in life (Seligman, Steen, Par & Peterson, 2005):1日のうちにあった良いことを3つ書く
  2. Gratitude letter (Seligman, Steen, Park & Peterson, 2005):日頃感謝している人へ手紙を書いて本人に読み上げる
  3. Using signature strengths in a new way (Seligman, Steen, Park & Peterson, 2005):自身の強みを生かして新しいことに挑戦する
  4. Using lesser strengths in a new way (Proyer et al., 2015):自身の弱みを使って新しいことに挑戦する
  5. Acts of kindness (Lyubomirsky, Sheldon & Schkade, 2005):周囲の人に親切な行動をとる
  6. Best possible self (King, 2001):将来の理想的なあり方について書く
  7. Three funny things (Gander et al., 2013):これまで経験した面白いことを3つ書く
  8. Engaging with beauty (Diessner et al., 2006):自然物・人工物・行為について美しさを感じたものをログにとる
  9. Meaningful photos (Steger et. al., 2014):人生の意味を表すシーンを写真に撮る
  10. Yoga (Bansal et al., 2013):ヨガと瞑想を行う

 

 また、診断ツールは以下20個から選べます。さすがに数が多いので概要省きますが、それぞれ診断できる内容が異なるので、処方を通じて改善が期待されるものにヒットするものを選択する必要があります。

  1. Positive and Negative Affect Schedule (PANAS: Watson, Clark & Tellegen, 1988)

  2. Scale of Positive and Negative Experience (SPANE: Diener et al., 2009)

  3. Body Appreciation Scale- 2 (Tylka & Wood-Barcalow, 2015)

  4. Self-Compassion Scale (SCS: Neff, 2003)

  5. Self-Compassion Scale - Short Form (SCS-SF: Raes et al., 2011)

  6. COPE (Carver et al., 1989)

  7. Self-Determination Scale (Sheldon & Deci, 1995)

  8. The Gratitude Questionnaire (McCullough et al., 2002)

  9. Adult Trait Hope Scale (Snyder et al., 1991)

  10. Adult State Hope Scale (Snyder et al., 1996)

  11. Situational Humour Response Questionnaire (SHRQ: Martin & Lefcourt, 1984)

  12. Meaning in Life Questionnaire (MLQ: Steger et al., 2006) 

  13. Freiburg Mindfulness Inventory (FMI: Walach et al., 2006)

  14. Life Orientation Test - Revised (LOT-R: Scheier, Carver, & Bridges, 1994)

  15. Savouring Beliefs Inventory (SBI: Bryant, 2003)

  16. VIA Survey for Adults(The Website will ask for your email address to create an account, the test is free)

  17. PERMA Profiler (Butler & Kern, 2013)

  18. Psychological Well-being Scale (PWB: Ryff, 1989)

  19. Satisfaction with Life Scale (SWLS: Diener, Emmons, Larsen & Griffin, 1984)

  20. AWE-S Scale (Yaden et al., 2018)

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 個人的に、この課題の肝は自分の今の状態を正しく認識するところにあると思います。各処方・診断ツールでアプローチできる要素は限られているので、自分の現状や理想的な状態を踏まえてどこにテコ入れしていくのが自身の幸福度(wellbeing)向上に繋がるか、じっくり考えた上で取り組む必要があるでしょう。

 その結果、私が選んだのは、10.ヨガと2.SPANEの組み合わせ9.Meaningful photosと12.MLQの組み合わせの2セットです。新しい環境や将来の心配などで精神的に不安を感じるようになっていたのでヨガ・瞑想で気持ちを落ち着けたいということ、また人生の意味(使命とか天職とか)は私がポジティブ心理学を学びたいと思った1つのきっかけであり、中長期的な幸福度を高めるにあたって避けては通れない要素だと思っていたので、これを機に真剣に考えてみたいと思いました。

 ここ何週間かは毎朝ヨガに取り組んでおり、そろそろ実施期間も終えられそうなので、どういった効果があったかまた報告できればと思います。