ポジティブ心理学・コーチング心理学修士課程の全体像

 ようやく住む家が決まって生活基盤が整いつつあります。あとは自炊などに当たって不足しているものを揃えたり、課題の他に英語の勉強やジムの予定など日・週単位での時間の使い方をある程度固められれば、ようやく落ち着くかなといった感じです。

 さて、大学の方は今週がWelcome Weekで、事務的なオリエンテーションや交流イベントなどが複数催されました。僕は留学生向けのオリエンテーションに出ましたが、交流イベントの方は(ひと回りぐらい年下の学部入学者向けの新歓イベントな感もあって)不参加。空いた時間は図書館で過ごしたり、生活基盤整備の追い込みをしたり、同じくロンドンに留学している前職の友人に会ったりと、何だかんだ忙しく過ごしていました。

 そしてWelcome Weekでは、僕が専攻するコース履修者向けのオリエンテーションも行われ、講師陣の紹介やプログラムの全体像などについて説明を受けましたので、ブログをご覧の皆さんにもイメージを持ってもらえるよう簡単に内容を紹介したいと思います。

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 まず、UEL(University of East London)のポジティブ心理学コーチング心理学修士課程ですが、Master of Applied Positive Psychology and Coaching Psychologyが正式名称で、MAPPCPと略されます。

 フルタイム受講者の場合だと、1年間のプログラムで、10月〜12月、1月〜4月、5月〜10月の3タームから構成され、各タームで2コース60単位(30単位/コース)を履修することになります。期末試験はないのですが、期末のレポートやコーチングログなどの提出課題、また最終タームに修論があり、その評価で修士号がもらえるかが決まります。

 キャンパスでの講義は3週間に1度の週末(金土日の3日間)のみで、その間は予習として論文読んだり、コーチングの練習、期末課題の準備、また関連イベント等に参加して最新の研究や臨床現場に触れるなどして過ごします。ぶっちゃけオリエンテーションに参加するまで、なんとなく一般的な海外修士よりは緩そうなプログラム?、空いた時間は旅行とか行きたいなぁ、とか勝手に(安易に)考えてもいたのですが、完全に甘い見立てでした。週末講義は7時間/日×3日とぎっしり詰まっていて1回の課題量も多いので、しっかりと計画的に勉強を進めていかないと大変な目に遭いそうです。

 続いて各タームで履修する6つの授業は以下の通りです。(選択科目はなくて全て必修となります。)

Term1 (2019.10 - 2019.12)

  • Perspectives on individual wellbeingポジティブ心理学の理論、研究、応用について幅広く学びます。特にポジティブ心理学の向けられる批判や課題、また社会(個人や集団)への実践法などにも焦点が当てられます。
  • Coaching theory and practice:科学的根拠に基づいたコーチングの理論と実践、またポジティブ心理学の考え方を取り入れたコーチングの手法について学びます。実際にコーチングの練習とフィードバックを重ね、最終的にコーチング従事者レベルに達することを目指した内容です。

Term2 (2020.1 - 2020.4)

  • Flourishing within organisationsポジティブ心理学の応用にフォーカスし、教育現場や組織、政策といった様々な場面での適応を図るために必要な視点(社会、政治、哲学、歴史等)から、ポジティブ心理学への理解を深めます。
  • Research in PP and CP I修士論文を書くにあたって必要なリサーチスキルについて学びます。 

Term3 (2020.5 - 2020.9)

  • Positive Leadership and Professional Coaching:ポジティブリーダーシップの重要な1要素としてコーチングが果たす役割について学びます。1対1のコーチングではなく、チームや組織におけるコーチング手法によりフォーカスが当てられます。
  • Research in PP and CP II修士論文を書くにあたって必要なリサーチスキルについて学びます。

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 以上がざっとコースの概要となりますが、オリエンテーションを通じてコース全体でどういった点が重視されているのか、僕なりに感じたことを書きたいと思います。

 まず「ポジティブ心理学」は比較的新しい学問であり、研究の数はまだ多くなく、社会での応用例という意味でも限られています。その中で本コースは、コーチングをポジティブ心理学実践の手段として取り上げ、その2つを統合(Integration)するという点で非常にユニークです。(UELポジティブ心理学修士課程を作った世界で2番目の大学ですが、コーチング心理学と統合させた世界初の大学でもあります。)オリエンテーションの中でも、ポジティブ心理学コーチング心理学それぞれの役割、また2つが重なる合う部分でどういったインパクトが創出されるのかディスカッションするワークが盛り込まれていました。この点については、特にTerm2、Term3で深く掘り下げていくのだと思いますが、どういったシナジーが生み出されるのか今から楽しみです。

(ちなみに下の写真に日本の国旗がありますが、写っているChristian van Nieuwerburgh教授には日本の血が入っていて少し日本語も話すそう!)

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 また、講師陣が度々用いていたワードとして、これから始まる1年間のことを「Transformative Journey」と表現していた点が非常に印象的でした。ポジティブ心理学は、Wellbeingを定義・分解して、それを達成するためのアプローチを見つけることで、個人や組織をポジティブな方向へ変容させる(tranform)学問ですが、「Tranformative Journey」という言葉には、研究分野としての新規性や潜在性、そしてそれを社会に応用した(Applied)際の可能性を大きく感じさせてくれるような響きがあります。 

 最後に、履修者の年齢層は幅広く、学部卒業後の進学者から、僕のように社会人経験のあるミドル、そして年配の方もちらほら見かけました。同じテーブルに座った2人はそれぞれ40代と50代で家族がいて仕事しながら受講しているとのことで、本当に色んな人が参加しています。(そんな中、アジアからの留学生は意外にも?おそらく私ひとりだけでした。追記:日本1、シンガポール1、マレーシア1、スリランカ1、インド1、トルコ1でした。)こういったダイバーシティな環境も、プロフェッショナルとしてのキャリア構築に留まらない個人の生き方を探求していく本プログラムならではの特徴だと思います。以下の写真はChristian教授のセルフィーですが、なんとなく雰囲気伝わるでしょうか?

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 来週末からいよいよ第1回目の集中講義なのでとりあえず宿題頑張りたいと思います。