mskeria107の日記

アフリカ・南米・中東で活動する国際協力師。仕事の話、キャリアの話、雑多な話など。

トルコにおけるシリア難民支援(統計)

 前回記事で、トルコにおけるシリア難民支援の概要について紹介しました。今回は、トルコのシリア難民に関するデータをいくつか紹介して、難民流入の状況についてイメージを膨らませてもらえればと思います。
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シリア難民内訳

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UNHCRからのデータ(2018年11月22日現在)です。これによれば、登録されているシリア難民は3,603,888人。男女比は若干男性が多いようです。特徴的なのは、17歳以下の子供は全体の約45%を占め、中でも0-4歳、5-11歳の層にある幼い子供たちが多いということがわかります。また、こちらのトルコニュース記事によれば、2011年以降トルコで約30万人のシリア難民の赤ちゃんが生まれているというのは、シリア難民の長期化・大規模化という現象を如実に表しています。

シリア難民数の推移 

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 トルコ政府内務省移民管理局からのデータ(2018年11月22日現在)です。 シリア内戦が始まった2011年から難民が発生しており、特に2015年までの伸び率は異常に高いです。また、2018年になってもシリア難民の登録数は増えていっていることが分かりますが、これはシリアからの純流入だけでなく、トルコ政府の登録機関がパンクして対応できていなかった申請を順次処理していること、またトルコで難民の赤ちゃんが誕生していることも要因として考えられるでしょう。

受入県トップ10(難民数)

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 同じくトルコ政府のデータ(2018年11月22日現在)からで、トルコにおいてどの県が最も多くのシリア難民を受け入れているかを表しています。ここから分かるのは、①トルコ最大の都市イスタンブールで最も多いシリア難民(558,805人)を受け入れていること、②シリアと国境を接する南東部の複数の県でシリア難民が多いこと、③上位4県でトルコにおけるシリア難民の50%以上が生活しているということです。

 ①についてはイズミールやブルサという大都市も同じ傾向であり、シリア国境から離れているにも関わらず、その経済規模から雇用機会を求めて多くの難民が流れているためです。また、②は、シャンルウルファ、ハタイ、ガジアンテップといった都市でもいずれも40万人超となっており、地理的に近いこと、イスタンブールなど大都市と比べて生活費を安く抑えられること、親戚が住んでいてツテをたどって、などが理由として挙げられます。 

受入県トップ7(人口比)

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 こちらは、各県で受け入れているシリア難民が県人口の何%に達しているかを示したグラフ(トルコ政府のデータ(2018年11月22日現在)から筆者作成)です。難民数が県人口の10%以上に達する上位7県を挙げていますが、いずれもシリア国境に近い南東部の県から成り立っています。上位4県が20%を超えており、特にキリス県では約90%に達していることは驚きです。キリス県に住む人の2人に1人がシリア難民となっています。

居住エリア

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 こちらは、シリア難民がどこに住んでいるかを表しています。難民キャンプでは157,083人が生活しており、全体の5%を下回っています。対して、キャンプに住んでいない、すなわち都市の中でトルコ人に混じって生活しているシリア難民が95%以上を占めています。難民キャンプはトルコ政府によって運営されていますが、流石に全難民を収容できるキャパシティはないことが、都市生活難民が大部分を占める理由となっています。

 

 以上、データからトルコにおけるシリア難民の状況を見てみました。一言で「難民」といっても、世代や性別、居住環境に違いがあり、また受入側からしても自治体によってその影響は大きく異なっています。現地の状況やニーズを確かめながら、どういった協力が必要なのか考えていくことが必要です。