mskeria107の日記

アフリカ・南米・中東で活動する国際協力師。仕事の話、キャリアの話、雑多な話など。

国際協力をやる意味。業界に身をおいて感じること。

 私が国際協力を新卒キャリアに選んだ理由の1つに「国際協力に関わる人たちは何を考えているんだろう」と興味を持ったことがあります。

 「利益を上げ、企業価値を高める」というビジネスの前提が必ずしも当てはまらない国際協力の現場では、人々は何を目指すのか、また働くモチベーションだったり、裨益者の感じていることなど、全く馴染みのない業界だからこそちょっと覗いてみたい、そんな好奇心がありました。

 その中でも、今回は、国際協力ってこんな意味があるんだと、実際に携わってきて感じたことを書きたいと思います。特に私の場合、大学では商学部経営学専攻で業界でも結構レアな人種、またもともと世界平和を声高に掲げて国際協力や開発援助の必要性を訴えるような人間でもないので、フラットな目線で感じることを伝えられるかなと思います。 

 結論として言いたいことは、「日本にも多くの課題があるのに外国に援助なんてしている場合じゃない」ということも言われますが、いやいや、やっぱり国際協力は必要なんだ!ということです。

困っている人達に手を差し伸べること

 これが国際協力を行う1丁目1番地だと思います。

 例えば、世銀が定める貧困ライン(1日1.90ドル以下)に基づけば、貧困はかなり減ってきているものの、まだまだ世界の10%の人たちは貧困に苦しんでいます。

世界銀行は、2015年10月、国際貧困ラインを2011年の購買力平価(PPP)に基づき、1日1.90ドルと設定しています。
(2015年10月以前は、1日1.25ドル)

世界の貧困率および貧困層の数
貧困率 1990年:36% 2015年:10%
貧困層の数 1990年:18億9500万人 2015年:7億3600万人
(*2011年の購買力平価に基づき、国際貧困ラインを1日1.90ドルで計算)

出所:Regional aggregation using 2011 PPP and $1.9/day poverty line

 また、「貧困」という視点以外でも、児童労働、ジェンダー差別、難民、犯罪、汚職、衛生、環境問題、など、世界は多くの問題で溢れており、そこには多くの困っている人達がいることを、身をもって感じます。

 こういった問題をその国の政府が解決できると良いのですが、資金や能力/経験の不足、また意識の違い(外国から見ると異常な事態も必ずしもそう認識しない)などから、やはり先進国が協力する必要があります。

 自分の目でそういった人たちを見てきて、他人事だから我関せずという考え方はどうしても持てませんでした。困っている人があれば助けてあげたい、これは相手がどこの国の人であっても同じだと思います。

他人事じゃない問題

 グローバル化は経済だけでなく、開発課題にも広がっており、他国での問題が日本に与える影響というのも多く存在します。

 例えば環境問題。地球温暖化によって世界各地で異常気象が起こっており、日本でも酷暑や台風などの被害が拡大しています。これは1つの国がどれだけ頑張っても効果は薄く、温室効果ガスを多く排出する国を技術や資金力のある国が支えていかないと共倒れしてしまいます。

 またテロの問題。先進諸国がテロの標的とされ多くの犠牲者が出ていますが、テロリストを取り締まるだけでなく、今後生み出さないための取組みが必要です。テロに加担する人の多くは、職を持てず生活に困窮して自国政府や欧米諸国に不満を持つ若者達で、またテロの温床は紛争や内乱などでガバナンスが機能しない国々です。そういった国や人々を支えることは、同時に先進国にとってのテロリスクを減らすことに繋がるのです。

 自国のことだけ考えていてはサバイブできない時代に入っています。どこかで問題があれば全員で解決していく、そういった姿勢が求められています。

世界平和、相互理解

 そしてこれは国際協力に携わって最も痛感することですが、違う国の人同士が手を携えることは、相互理解を生んで、国家間の争いや戦争を生むリスクを減らし、世界を平和にする土壌を養っていくことに繋がります。

 日本人から支援を受けて、日本人や日本という国が大好きになったという人にこれまで多く出会いました。そういった人たちは、日本人は真面目で勤勉、温和という印象を抱き、日本を単なるアジアの一国としてではなく、そのユニークさをしっかり理解してもらっています。

 その逆も然りで、国際協力に携わる日本人も、自身が情熱をかけて仕事をした地域や国、人々に対して、(多くの苦労はありながらも)愛着を抱いています。私もこれまでアフリカ、南米、中東で国際協力に取り組んできましたが、そういった国々と日本は友好関係を保ち続けて欲しいと強く願っています。

 過去の植民地政策やブロック経済などを通じた諸外国との関わり方は、第2次世界大戦を経て、徐々に国際協力や政府開発援助といった関わりにシフトしてきました。今後はビジネスや観光、文化・学術交流など、さらに相互主義を生む結びつきが強くなっていくでしょう。

 外国で何かあったときに、自分事として感じ手を差し伸べること、また寛容さを持って相手を許してあげること、そういった国と国、人と人との関係を築くにあたって、国際協力は大きな役割を果たしています。

 

 また最後に、最近の政府開発援助(ODA)では日本企業への裨益が強く打ち出されているので、参考までに紹介したいと思います。

日本企業への裨益

 日本の国内市場は縮小を続け、海外マーケットを見据えないと経済成長は難しくなっている一方で、東南アジアや南アジアの国々は経済成長が著しく、また日本から地理的に近いこともあって多くの日本企業が進出する地域となっています。しかしながら、そういった国々では、教育の問題で労働者の生産性が低かったり、医療レベルが不十分だったり、金融システムや法律が整備されていない、道路・港・電気がないといった、日本企業が現地でビジネスを行う上での課題が多くあります。そういった課題を解決することも国際協力の役割となっています。

 

 以上、私が感じる国際協力の意味について書いてみました。どのような関わり方でも良いので、多くの人に国際協力に接してもらいたいなと考えています。